ボイ渓谷のカタルーニャ風ロマネスク様式教会群の観光情報|日帰り〜ホテル

6 min
世界遺産のサン・クリメン教会

バルセロナから、車で約3時間半。

ピレネー山中、ボイ渓谷にある世界遺産の聖堂に行ってきました。

このボイ渓谷一帯はスペインのカタルーニャ風ロマネスク様式教会 の宝庫。

なかでも「サン・クリメン聖堂」の素朴で穏やかな姿が際立ちます。

 1,000年も昔に建てられた、素朴で地味な教会が、雄大なピレネー山脈の自然のなかに点在してまして…

そんな景色を眺めるだけで、こころ洗われます。

さらにロマネスク美術は〝ゆるキャラ〟〝ヘタウマ〟の癒しキャラのオンパレード。

とても和めるアートなので、すっかりふにゃぁとなるショートトリップ。  

北スペイン、バルセロナに行くなら絶対!

強行軍になりますが、日帰りも可能です。

足をのばしてボイ渓谷まで行く価値アリ!

ピレネー山脈まで、行かなきゃダメ?

ピレネー山脈にあるロマネスク建築のサン・キルク聖堂
標高1,500mの見晴らしのいい場所に立つ「サン・キルク聖堂」

バルセロナ市内にもロマネスク様式の教会はあります。

もちろん、バルセロナ以外の街にも…

でも、です。

ここピレネー山脈のボイ渓谷には、スペイン・ロマネスクの至宝である傑作「栄光のキリスト像」があります。

いや、正しくはあったデス。

20世紀初めに、傷みが激しいので壁からはがして修復し、現在、バルセロナの「国立カタルーニャ美術館」に展示されています。  

じゃ、バルセロナで見ればいいじゃんとなるんですが…

そうでもナイ。

バルセロナの展示も、教会内部を再現しているのでソレナリですが…

やっぱり、ピレネーの清涼な山の空気を感じながらでないと。  

でも、はがしちゃったんなら見れないじゃん

いやこれが、秀逸なビデオマッピングが2014年に完成。

1123年の創建当時のままの姿を楽しむことができるようになってます。

世界遺産の教会のスゴいビデオマッピング

サン・クリメン聖堂
「サン・クリメン聖堂」の完璧に再現された主祭壇。映像の最後は圧巻

ワタシは復元コピーより原画ヨネと、思うタイプですが…

このビデオマッピングは超優秀!

考古学者とマッピング制作者がチームをつくって制作。

彩色や描かれ方まで感じることができます。

感動して10回は観ました。

で、上の写真が最終形「栄光のキリスト像」です。  

このサン・クリメン聖堂のあるボイ渓谷には、ほかにもロマネスクの教会があり、「ボイ渓谷のカタルーニャ風ロマネスク様式教会群」として世界遺産に登録されています。

Sant Climent de Taüllサン・クリメン聖堂
住所Taüll, Lieida, Spain
開館時間10時〜14時・16時〜19時(7,8月は〜20時)
休み1月1日,12月25日
入場料5ユーロ

*ビデオマッピングは日に8回上映

そも世界遺産のロマネスク教会って何が魅力?

ロマネスクノサンタ・マリア教会
ピレネーのボイ渓谷、タウル村にある「サンタ・マリア教会」内部

ロマネスク様式とは、ざっくり10〜12世紀の西ヨーロッパに建てられた教会建築、キリスト教美術のことです。

ビシ〜っと天空に向けてとがった塔のが立つ「ゴシック建築」。

そのゴシックのひとつ前が「ロマネスク建築」。

まだ建築技術が進んでいないので、小さくて、全体にずんぐりしてます。

イメージ〝丸っこっちい〟。

大きな窓をとる技術がないので、なかはとっても暗い。

でも暗い分、細くて小さな窓から射しこむ光がドラマチックで、ステキです。

で、その効果はシッカリ意図されていて、祭壇真うしろに窓があるので、朝のミサに光が射しこむようにできてます。

サンタ・マリア教会
「サンタ・マリア教会」内部
Sant Maria de Taüllサンタ・マリア教会
住所Taüll, Lieida, Spain
開館時間10時〜19時(7,8月は〜20時)
休み1月1日,12月25日
入場料無料
東向きの教会と西向きのお寺

ロマネスク以前も以後も、教会建築の基本は〝東向き〟。
主祭壇が東になるように建てられています。
立地によってムリな場合は、この限りではありませんが…

信者は西側の入り口から入り、東の祭壇に向けて歩いて行きます。
ラテン語で東、日の出る方向はOriens → オリエントってこと。
で、 いまでもオリエンテーションという言葉には、教会の主祭壇を東に向くように建てることという意味があります。

仏教では〝西方浄土〟で西を意識しますが、キリスト教は〝東〟。
クリスマスのときの「東方の三博士」も〝東〟を暗示してます。

ロマネスク美術のユルさがたまらん!
ロマネスクのキリスト像

で、ロマネスク美術には教会を飾る彫刻や絵画もふくまれるわけで、コレがじつにかわいい。

 愛すべきユルさです。

人物も動物も、だいたい三頭身。

赤ちゃんや仔犬や仔猫がかわいいのと同じです。  

そして、決しておじょうずとはいいがたい稚拙さ。

これがまたこころに響きます。

このアタリで、多くの女子は完全にハマるはず。

もちろん男子にもロマネスク好きは多いです。

小旅行ならばホテル。どこに泊まる?

サンタ・マリア教会
「サンタ・マリア教会」外観

まずサン・クリメン聖堂は絶対外せないので、この教会のあるタウル村を拠点にします。

ワタシは1泊しかできなかったので、4つの教会しか回れませんでしたが、2泊するとこの界隈の主な教会6ケ所と近隣の自然公園を堪能できます。

このボイ渓谷のロマネスク教会群は、全部で22個もあるのですべて見るのはけっこうたいへん。

でも、自然を満喫しながら全制覇というテもあります。

春〜夏にかけては、トレッキングがてら巡るのに最適シーズン。

ただ飽きちゃうかもしれないので、スキーと組み合わせて冬に行くのもアリです。

詳しいことが気になる人は、下記のサイトがおすすめ。

日本語はナイですが、ボイ渓谷のことがいろいろわかります。 → CRVB Centre del Romànic de la Vall de Boíへ

Santa Maria de Taüll 

サンタ・マリア聖堂
住所Taüll, Lieida, Spain
開館時間10時〜19時
休み1月1日, 12月25日
サン・ジョアン教会
ボイ村の入り口にある「サン・ホアン教会」

ベストシーズンは、ジモティいわくは6月と7月だそう。 雪が溶け、川の水も多くなり、花も咲き乱れて最高〜なんだととか。 8月は、ホテル満室状態。 けっこう人気なんですよね、この村。 自然公園を楽しむ人が多いのだそう。

Sant Joan de Boiサン・ホアン教会
住所Boi, Lieida, Spain
開館時間10時〜14時・16時〜19時
休み1月1,12月25日
入場料2ユーロ
塔も見学可能です

おすすめホテルは「エル・シャレ・デ・タウル」

エル・シャレ・デ・タウル タウルは小さな村ですが、スキーリゾート地なのでホテルも何軒かあります。

が、ワタシが行った11月は…観光客が少ないので、B&Bしか空いてませんでした。

デモ、ここ「エル・シャレ・デ・タウル」が大当たり!

山小屋な建物で、バルコニーからの景色もグッド。

女性オーナーのアントニアがつくってくれる朝食が、最高でした。

彼女、音楽の趣味もよくって、軽やかなジャズがいつも流れてます。

 El Xalet de Taüllエル・シャレ・デ・タウル
住所Carrer El Como 5, Taüll, Lieida, Spain
電話+34-973-696-095
サイトエル・シャレ・デ・タウルのサイトへ(スペイン語・カタルーニャ語・英語)
客室3タイプあり全5室・ひとり1泊90ユーロ(約1万3000円)〜
*オンシーズンは高くなります

バルセロナからのアクセスは?

車、レンタカーで行くのがいちばんカンタン。

バルセロナから3〜4時間で、けっこう道もよいです。

山道に入るまでは高速が使えるし、山道もそんなにキビシクありません(冬の雪道はまた別)。

バスで行く場合は、最低1回は乗り換えが必要で5時間強かかります。

電車だけではタウルに行けないので、レリダという街まで行ってバス。

こちらも5時間強。  

タクシーで行けると楽チンですが、バルセロナから400〜450ユーロ(5万2000〜8000円)かかるもよう。

片道料金なので、ちょっと二の足ですが、スペインなので交渉の余地は大いにあります。

問題は、帰路。

宿泊先に相談するテはあります。

電車のあるレリダまでの手段を相談という感じでしょうか。

バルセロナの北バスターミナルからALSA社の「Pont de Suert行き」のバスに乗ると、約4時間で到着します。

小旅行で世界遺産を堪能したらバルセロナでココへ!

カタルーニャ美術館
モンジュイックの丘に立つ「国立カタルーニャ美術館」

先にこの「国立カタルーニャ美術館」で、本物の「栄光のキリスト像」はじめロマネスクのコレクションを見てから、ピレネーに行くこともできます。

でも、断然!

ピレネーで雰囲気を味わうのが先!

シンとした山の雰囲気を思い出しつつ、オリジナルを見れば、かんたんに12世紀にタイムトリップできます。

カタルーニャ美術館の「栄光のキリスト像」
「サン・クリメン聖堂」の主祭壇の展示。こちらがオリジナル

ちなみに、学芸員の方にスペイン・ロマネスクの特徴を聞いたところ

フランスやイタリアなど、ほかの国のロマネスクと大きくちがうのは、やはりイスラムの影響がそこはかとなく香るということです。
キリスト教の教会であっても、イスラム支配の影響は受けているので、柱頭に幾何学模様がほどこされていたり…
なにより、とてもエキゾチックです」
とのこと。

(スペインとイスラムの歴史についてはコチラの記事をどうぞ→【5分でわかる】スペイン、アンダルシアの歴史。旅行に行くなら知っとこ!)  

エキゾチックという目で見ると、「栄光のキリスト」も線が太くって、ヨーロッパ的というよりちょっと異国情緒なのかもです。

Museu Nacional d’Art de Catalunya国立カタルーニャ美術館
住所Palau Nacional, Parc de Montjuïc, Barcelona
開館時間10時〜18時(10月〜4月)・10時〜20時(5月〜9月)・10時〜15時(日曜祝日)
休み月曜
サイトカタルーニャ美術館のサイトへ

  *スペインに行く前に読んでおくと便利です>>面白いけど役に立つ、5分でわかるスペイン基本情報

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