バルセロナから、車で約3時間半。
ピレネー山中、ボイ渓谷にある世界遺産の聖堂に行ってきました。
このボイ渓谷一帯はスペインのカタルーニャ風ロマネスク様式教会 の宝庫。
なかでも「サン・クリメン聖堂」の素朴で穏やかな姿が際立ちます。
1,000年も昔に建てられた、素朴で地味な教会が、雄大なピレネー山脈の自然のなかに点在してまして…
そんな景色を眺めるだけで、こころ洗われます。
さらにロマネスク美術は〝ゆるキャラ〟〝ヘタウマ〟の癒しキャラのオンパレード。
とても和めるアートなので、すっかりふにゃぁとなるショートトリップ。
北スペイン、バルセロナに行くなら絶対!
強行軍になりますが、日帰りも可能です。
足をのばしてボイ渓谷まで行く価値アリ!
目次
ピレネー山脈まで、行かなきゃダメ?
バルセロナ市内にもロマネスク様式の教会はあります。もちろん、バルセロナ以外の街にも…でも、です。
ここピレネー山脈のボイ渓谷には、スペイン・ロマネスクの至宝である傑作「栄光のキリスト像」があります。いや、正しくはあったデス。
20世紀初めに、傷みが激しいので壁からはがして修復し、現在、バルセロナの「国立カタルーニャ美術館」に展示されています。 じゃ、バルセロナで見ればいいじゃんとなるんですが…
そうでもナイ。
バルセロナの展示も、教会内部を再現しているのでソレナリですが…やっぱり、ピレネーの清涼な山の空気を感じながらでないと。 でも、はがしちゃったんなら見れないじゃん
いやこれが、秀逸なビデオマッピングが完成。1123年の創建当時のままの姿を楽しむことができるようになってます。
世界遺産の教会のスゴいビデオマッピング
ワタシは復元コピーより断然原画ヨネと、思うタイプですが…このビデオマッピングは超優秀!考古学者とマッピング制作者がチームをつくって制作。彩色や描かれ方まで感じることができます。
感動して10回は観ました。で、上の写真が最終形「栄光のキリスト像」です。
このサン・クリメン聖堂のあるボイ渓谷には、ほかにもロマネスクの教会があり、「ボイ渓谷のカタルーニャ風ロマネスク様式教会群」として世界遺産に登録されています。
Sant Climent de Taüll | サン・クリメン聖堂 |
住所 | Taüll, Lieida, Spain |
開館時間 | 10時〜14時・16時〜19時(7,8月は〜20時) |
休み | 1月1日,12月25日 |
入場料 | 5ユーロ |
*ビデオマッピングは日に8回上映
そも世界遺産のロマネスク教会って何が魅力?
ロマネスク様式とは、ざっくり10〜12世紀の西ヨーロッパに建てられた教会建築、キリスト教美術のことです。
ビシ〜っと天空に向けてとがった塔のが立つ「ゴシック建築」。そのゴシックのひとつ前が「ロマネスク建築」。まだ建築技術が進んでいないので、小さくて、全体にずんぐりしてます。
イメージ〝丸っこっちい〟。
大きな窓をとる技術がないので、なかはとっても暗い。でも暗い分、細くて小さな窓から射しこむ光がドラマチックで、ステキです。で、その効果はシッカリ意図されていて、祭壇真うしろに窓があるので、朝のミサに光が射しこむようにできてます。
Sant Maria de Taüll | サンタ・マリア教会 |
住所 | Taüll, Lieida, Spain |
開館時間 | 10時〜19時(7,8月は〜20時) |
休み | 1月1日,12月25日 |
入場料 | 無料 |
ロマネスク以前も以後も、教会建築の基本は〝東向き〟。主祭壇が東になるように建てられています。立地によってムリな場合は、この限りではありませんが…
信者は西側の入り口から入り、東の祭壇に向けて歩いて行きます。ラテン語で東、日の出る方向はOriens → オリエントってこと。で、 いまでもオリエンテーションという言葉には、教会の主祭壇を東に向くように建てるこという意味があります。
仏教では〝西方浄土〟で西を意識しますが、キリスト教は〝東〟。クリスマスのときの「東方の三博士」も〝東〟を暗示してます。
ロマネスク美術のユルさがたまらん!
で、ロマネスク美術には教会を飾る彫刻や絵画もふくまれるわけで、コレがじつにかわいい。
愛すべきユルさです。人物も動物も、だいたい三頭身。赤ちゃんや仔犬や仔猫がかわいいのと同じです。 そして、決しておじょうずとはいいがたい稚拙さ。これがまたこころに響きます。
このアタリで、多くの女子は完全にハマるはず。もちろん男子にもロマネスク好きは多いです。
小旅行ならばホテル。どこに泊まる?
まずサン・クリメン聖堂は絶対外せないので、この教会のあるタウル村を拠点にします。
ワタシは1泊しかできなかったので、4つの教会しか回れませんでしたが、2泊するとこの界隈の主な教会6ケ所と近隣の自然公園を堪能できます。
このボイ渓谷のロマネスク教会群は、全部で22個もあるのですべて見るのはけっこうたいへん。でも、自然を満喫しながら全制覇というテもあります。春〜夏にかけては、トレッキングがてら巡るのに最適シーズン。
ただ飽きちゃうかもしれないので、スキーと組み合わせて冬に行くのもアリです。詳しいことが気になる人は、下記のサイトがおすすめ。
日本語はナイですが、ボイ渓谷のことがいろいろわかります。 → CRVB Centre del Romànic de la Vall de Boíへ
Santa Maria de Taüll | サンタ・マリア聖堂 |
住所 | Taüll, Lieida, Spain |
開館時間 | 10時〜19時 |
休み | 1月1日, 12月25日 |
ベストシーズンは、ジモティいわくは6月と7月だそう。 雪が溶け、川の水も多くなり、花も咲き乱れて最高〜なんだととか。 8月は、ホテル満室状態。 けっこう人気なんですよね、この村。 自然公園を楽しむ人が多いのだそう。
Sant Joan de Boi | サン・ホアン教会 |
住所 | Boi, Lieida, Spain |
開館時間 | 10時〜14時・16時〜19時 |
休み | 1月1,12月25日 |
入場料 | 2ユーロ |
おすすめホテルは「エル・シャレ・デ・タウル」
タウルは小さな村ですが、スキーリゾート地なのでホテルも何軒かあります。が、ワタシが行った11月は…観光客が少ないので、B&Bしか空いてませんでした。
デモ、ここ「エル・シャレ・デ・タウル」が大当たり!山小屋な建物で、バルコニーからの景色もグッド。女性オーナーのアントニアがつくってくれる朝食が、最高でした。彼女、音楽の趣味もよくって、軽やかなジャズがいつも流れてます。
El Xalet de Taüll | エル・シャレ・デ・タウル |
住所 | Carrer El Como 5, Taüll, Lieida, Spain |
電話 | +34-973-696-095 |
サイト | エル・シャレ・デ・タウルのサイトへ(スペイン語・カタルーニャ語・英語) |
客室 | 3タイプあり全5室・ひとり1泊90ユーロ(約1万3000円)〜 *オンシーズンは高くなります |
バルセロナからのアクセスは?
車、レンタカーで行くのがいちばんカンタン。バルセロナから3〜4時間で、けっこう道もよいです。山道に入るまでは高速が使えるし、山道もそんなにキビシクありません(冬の雪道はまた別)。
バスで行く場合は、最低1回は乗り換えが必要で5時間強かかります。電車だけではタウルに行けないので、レリダという街まで行ってバス。こちらも5時間強。
タクシーで行けると楽チンですが、バルセロナから400〜450ユーロ(5万2000〜8000円)かかるもよう。片道料金なので、ちょっと二の足ですが、スペインなので交渉の余地は大いにあります。
問題は、帰路。宿泊先に相談するテはあります。電車のあるレリダまでの手段を相談という感じでしょうか。バルセロナの北バスターミナルからALSA社の「Pont de Suert行き」のバスに乗ると、約4時間で到着します。
小旅行で世界遺産を堪能したらバルセロナでココへ!
先にこの「国立カタルーニャ美術館」で、本物の「栄光のキリスト像」はじめロマネスクのコレクションを見てから、ピレネーに行くこともできます。
でも、断然! ピレネーで雰囲気を味わうのが先! シンとした山の雰囲気を思い出しつつ、オリジナルを見れば、かんたんに12世紀にタイムトリップできます。
ちなみに、学芸員の方にスペイン・ロマネスクの特徴を聞いたところ
「フランスやイタリアなど、ほかの国のロマネスクと大きくちがうのは、やはりイスラムの影響がそこはかとなく香るということです。 キリスト教の教会であっても、イスラム支配の影響は受けているので、柱頭に幾何学模様がほどこされていたり… なにより、とてもエキゾチックです」 とのこと。
(スペインとイスラムの歴史についてはコチラの記事をどうぞ→【5分でわかる】スペイン、アンダルシアの歴史。旅行に行くなら知っとこ!)
エキゾチックという目で見ると、「栄光のキリスト」も線が太くって、ヨーロッパ的というよりちょっと異国情緒です。
Museu Nacional d’Art de Catalunya | 国立カタルーニャ美術館 |
住所 | Palau Nacional, Parc de Montjuïc, Barcelona |
開館時間 | 10時〜18時(10月〜4月)・10時〜20時(5月〜9月)・10時〜15時(日曜祝日) |
休み | 月曜 |
サイト | カタルーニャ美術館のサイトへ |
*スペインに行く前に読んでおくと便利です>>面白いけど役に立つ、5分でわかるスペイン基本情報
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