アルバラシンは「スペインで最も美しい村」の第1位に何度も輝いた街。
北スペインのアラゴン州の中でも、とても不便な場所にありますが…
山あいに寄り添うようにして立つ街並みには、思いっきり趣きがあります。
時空を超えた中世ヨーロッパへと連れ出してくれる。
小さな田舎町での1時間の散策は、素朴だけれど豊かな、歴史と文化が堪能できます。
ハイライトは、城壁のある高台から見下ろす街並みです。
「スペインの最も美しい村」というのはフランスからはじまった〝美しい村〟協会といっしょ。スペインでは毎年新聞社主催でランキングが発表され、アルバラシンは何度も1位になってます。2019年、68の村が基準を満たし登録されてます。「スペインの最も美しい村」の詳細はコチラをどうぞ
目次
まずはマヨール広場から
アントニオとの待ち合わせは、市庁舎のある「マヨール広場」。
街の入り口にあるツーリストインフォメーションから、ダラダラ坂の目抜き通りをまっすぐ行くとかんたんに見つかります。
「マヨール広場」周辺にはバルやレストラン、銀行もあるので、ココは頭に入れておきましょう。
地図を見ないでブラつくのがおすすめ
アルバラシンは人口1,000人余りの小さな街なので、はっきりいって気の向くままに歩くのがいちばんです。
いきなり道がなくなったり、階段になってたりするので、地図見ててもねという感じでもありますし。
マヨール広場と城壁、大聖堂のの位置関係が頭に入ってればOKです。
うーん、中世の雰囲気。
あいにくの雨で歩きづらいのですが、石畳が濡れてきれいです。
そして、マヨール広場は一角がバルコニーになってるという、珍しい広場。
断崖の街らしく、山壁に重なるように立つ家並みを見ることができます。
バルコニーの奥は、山あいの豊かな自然が見られる展望台。
アルバラシン界隈、川沿いのトレッキングやボルタリングが盛んらしいです。
残念ながら、今回は街中のみの観光でしたが。
広場から見上げると、奥に城壁が少し見えます。
要塞な感じが伝わってきました。
ひしひし。
アルバラシンで注目は、逆さ台形なつくりの家!
マヨール広場から細い道をずんずん。
アルバラシンは断崖のわずかなスペースにつくられた街なので、家を建てるにもなんせ土地がありません。
そこで建て増し建て増しするに、じょじょに上階のほうが広がっていったという。
安定感…ありません。
でもなんかこの行き当たりばったり感が人間味あふれててイイです。
ほかではなかなか見られない拡張スタイル。
ほーっという張り出し方です。
中世の雰囲気を味わうのもいいですが、この見どころ抑えとかんとね。
道の上につくられた部屋とかは、ほかのヨーロッパでも見ますね。
小窓もあり。
と、アルバラシンの家の外壁がピンクなのは、この界隈独特の土のせい。
〝バラ色の村〟と、ロマンティックに呼ばれたりしています。
街でいちばん古い家の修復もアントニオの功績
いい感じの小道をそぞろ歩き。
アントニオ曰く、アルバラシンは晩秋から早春にかけてが静かでおすすめとのこと。
「観光客が増えるのはありがたいけど、賑やかすぎるのもどうなんだか」ってことらしいです。
ちょっと雨の水滴が邪魔ですが…
アルバラシン最古の家「Casa de la Julianeta(カサ・デ・ラ・フリアネタ)」。
この14世紀の家も上階部分の方が大きい。
で、この家にはキュビスム(ピカソたちの芸術運動)の絵が何枚かあったそうで、アーティストが住んでいたのかもしれません。
こうした家や街全体の修復の陣頭指揮をとったのがアントニオなのだという…
おっきな目をキラキラさせながらエネルギッシュに語るアントニオは、パッションの人でした。
アルバラシンといえばの城壁
1度上から街を眺めましょうということで、ちょっとひと登り。
城壁に行く途中で振り返ると、こんな景色が。
右奥のブルータイルの屋根の塔が「大聖堂」です。
手前の鐘楼が「サンティアゴ教会」。
この角度から見るアルバラシンが、アントニオのおすすめとのことでパシャリ。
確かに、上から眺めるよりも風情はあるかも。
街の全貌はちょっと分からないですが。
と、こんな感じの城壁がけっこう長くつづいてます。
万里の長城みたいトカ書いてる記事もありますが…
それはちょっといい過ぎでしょう。
で、かなり険しい道を登るナンテ紹介もあったりしますが…
そこまでスゴくはないです。
ふつうに旅歩きの靴であれば問題ありません。
ちなみにワタシはテニスシューズ。
もともとの城壁は10世紀にムーア人(北西アフリカのイスラム教徒のこと)が築きましたが、現存している城壁の大半は、14世紀のキリスト教徒によって再建されたものだそうです。
城壁近くまで登って振り返ると、こんな感じ。
向かって左が谷になっていて、下にグアダラビアル川が流れてるのが見えるでしょうか?
全体に細長い街だと分かります。
城壁の上にも登ることはできますが、時間もないのでカット。
景色はより説明的になるので、美しくないそうです。
でも、明るいうちに周囲のアルバラシン山系は堪能しておきましょう。
大聖堂を観光するにはツアーに参加
中世の街のそぞろ歩きは楽しいですが、「カテドラル(大聖堂)」も見ておかんとです。
アントニオが心血注いでいる修復のメインでもありますからして。
で、この「大聖堂」に入るには、街散策のツアーに参加する必要があります。
スペイン語オンリー。
でも要領よくアルバラシンの街中を巡れるし、そして「大聖堂」の中も見れるので、アリです。
「言葉が分からなくても参加したほうがいいよ」というおすすめができます。
料金:4ユーロ
ただガイドツアーの時間が決まっているので(1日2〜4回)、時間に余裕のある人向き。
カテドラル並びの「サンタ・マリア・デ・アルバラシン財団」に申し込みます→オンライン予約もできます
*財団以外にも「Andador」という会社がツアーをしていますがカテドラル内は見れません。
16世紀に建てられたカテドラル内部。
主祭壇には、柱の上に立つマリア「ピラールの聖母」です。
*この「ピラールの聖母」については、同じアラゴン州のサラゴサという街の記事で詳しくご紹介します
ドーム天井の装飾も美しく修復されて…
と思ったら、左側はまだ白い漆喰のままでした。
この細やかで美しい修復作業は、根気のいる仕事でありましょう。
と、ここまでアントニオ怒涛の案内で1時間。
最後にもう一度、城壁近くまで登って記念撮影しておしまいです。
アントニオから。
「コンサートやアートのワークショップなどいろいろ開催しているので、中世のアルバラシンを楽しみつつ文化にも触れてほしい」とのこと。
旅の非日常度をさらにアップしてくれるアルバラシンでありました。
アルバラシンへの行き方
さて、問題のアクセス。
ヨーロッパの小さな村はいずこも不便ですが、アルバラシンも同様。
基本はいちばん近い都市のテルエルからの移動になります。
テルエルからタクシーが現実的
州都であるテルエルからタクシー利用で30〜40分。
片道25〜50ユーロ(約3,000〜6,000円)とのこと。
ひとり旅だと痛い出費ですが、シェアならアリです。
*地元の旅行社にタクシーや専用車など移動の手配をお願いする方法もアリです。→おすすめできる地元旅行社の情報はコチラ
テルエルからバスで行くと
テルエルのバスターミナルからNavarro社のバスで行けます。
が、1日に1本。
テルエル発15:30 → アルバラシン着16:15
アルバラシン発8:55 → テルエル着9:45
*月~土のみの運行(日曜祝日は運行してません)
アルバラシンで泊まる前提の日程になります。
小さなホテルがいくつかあるので、夕景を楽しみがてら1泊…
バレンシアから、テルエルとアルバラシンへの日帰りバスツアーというのも現地ではあるようです。
もちろんレンタカーだととても便利
やはりヨーロッパはレンタカーで周れると自由度が増します。
テルエルは州都といっても小さい街なので、運転はキビしくないです。
アルバラシンに近づくと多少の山道ですが、シンドイほどのカーブの連続ってわけではありません。
なので運転好きで、旅程に多少の余裕があるならレンタカー推奨。
ちなみにマドリード〜アルバラシンは、約3時間半です。
アルバラシンで食べるなら、泊まるなら
アルバラシン名物は「アルバラシンチーズ」。
「テルエル産の白豚の生ハム」は必須ですし、それ以外のソーセージなど食肉加工食品はハズレない。
「Trnasco(テルナスコ)」という仔羊のローストもおすすめ。
ホテルはだいたい1泊5〜6,000円くらい。
修道院を改装したホテルもあります。
どうせならミシュラン星のごはん
じつはアルバラシンのすぐ近くに、おいしい料理が食べられて快適に泊まれる「エル・バタン」というところがあります。
アルバラシンで食べられるものは、おいしいけどまぁテルエルでも食べられます。
で、どうせこんな不便なところまで行くなら、この界隈でしか食べられないものを食べに行っちゃえということです。
ミシュランが何が何でもイイというわけじゃありませんが、とても辺ぴな田舎のミシュランレストランって、じつにヨーロッパ的なので。
しかもコストパフォーマンス高いから「都会でバル。田舎で高級レストラン」はお財布にもやさしいです。
「エル・バタン」の詳細はコチラの記事を見てください→アルバラシンまで行くならこのホテルに泊まって食べるが正解!
*ピレネーの麓にある「スペインで最も美しい村」アインサもおすすめの村なので、よかったらコチラの記事をご覧ください→アインサ【スペインの最も美しい村】は可愛ゆくも伝説上の中世の街
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