南イタリア。
喧騒と美食のナポリ、大人可愛いアマルフィ、カプリ島やソレントの魅力にもあらがいがたく…
なによりおいしいレストランが目白押しなのが、ものすごく嬉しい。
真っ赤に熟れたトマトや黄色鮮やかなレモン、そして太陽の香りのオリーブオイル…
日本人にとってのイタリア料理は、まさに南イタリアにあり!
で、中でもとびきりおすすめのレストラン「トッレ・デル・サラチーノ」が、最高。
目次
パスタといえばのペペロンチーノで…落ちる
ガマンできないので、いきなりパスタの紹介からいきます!
イワシとズッキーニのペペロンチーノ
イワシとズッキーニ、なんでもない食材。
でも、生魚のイワシの扱いが抜群です。
臭みなく、でもフレッシュなうま味、やわらか味がしっかり感じられて。
辛すぎず、オイリーでなく、とってもヘルシーな仕上がり。
ひとこと、感動もの。
毎日でも食べられる一品でありました。
南イタリアの家庭料理【パスタミスタ】
パスタミスタ=つまりミックスパスタ。
いろいろな形のパスタを混ぜてつくった料理で、ナポリのマンマの味(おふくろの味)です。
昔は量り売りだったパスタ。
少しづつ残ってしまったパスタを使い切るために、いっしょくたに料理したのがはじまりといわれてます。
いまでは「パスタミスタ」のパックが売られているという逆転現象。
パスタミスタ、魚のフリット添え
こちらは、シェフのお得意「パスタミスタ」をよそゆきにアレンジした一皿。
フリットを合わせてます。
でも、よそゆきなこちら↑よりも…↓
パスタミスタ
この文字通りのミックスパスタ、魚介風味がおすすめ。
見た目も地味だし、新しい料理ではなくふつうの家庭料理ですが…
トッレ・デル・サラチーノでは岩場の魚を低温調理し、そのエッセンスのスープでさまざまなパスタを炊いてます。
当然、炊く時間は各パスタによって違うわけで、じつはとっても手のこんだ料理なんです。
そして、濃厚にして複雑な味わいと、いろんなパスタの歯ごたえの違いが…
もうね、ヴォニーッシモ(超ウマイ)なわけです。
パッパルデッレにイカとパプリカ、季節の野菜和え
このイカも絶妙でした。
甘みととろみのイカは、歯ごたえありぃの、やわらかみありぃのでアンバイ最高。
この一皿もシェフ・エスポジートのお得意料理のひとつです。
野菜のちょっとした苦味がアクセントって感じ。
南イタリアのすべてが凝縮された料理
低温調理の一皿を、前菜から紹介すると…
オレンジのスープ
まさにオレンジのスープに、ウツボの詰めものをした甘い唐辛子、カラスミとイカを添えた逸品。
これまたシェフのシグネチャーディッシュです。
前菜にふさわしく、やさしい喉ごしのスッキリとした味。
この料理は、時期によってビート(赤カブ)を詰めたり、ゴートチーズをかけたりと変わるようです。
で、オレンジのスープって、これぞ南イタリアでしょう。
タイの香草焼き
メインディッシュはタイ、鯛!
この料理のソースが、さらっとしてるけど複雑な味なので聞いたところ…
レタス、ミニトマト、パセリ、ミント、アサツキをジューサーにかけて、オリーブオイルとコラトゥーラ(南イタリアの魚醤)をくわえたものだそうです。
聞かなきゃ、トマトとミントくらいしか分かりませんでしたね、実際。
深い味わいを垣間見た感です。
クーポラのチョコレート
締めのドルチェは。バニラとアーモンドのビターチョコ。
「クーポラ」とはドーム、教会などで見る丸天井のことです。
ワタシA
写真撮るの忘れて、食べはじめちゃったんで…
ドームじゃなくなっちゃいましたけど
濃厚だが重すぎない至極のドルチェでした。
南イタリアに行くならココは外せない
トッレ・デル・サラチーノは、ソレント半島の付け根、ナポリ湾に面したヴィーコ・エクエンセという街にあります。
テラス席の向こうにはベスビオ火山が見え、火山の向こう側のナポリ市内から車で小1時間(渋滞だともっとかかります)。
で、地元の海水浴場のそばにあります。
なんとウラヤマシイことに、そんな海で遊んでいたと思われる人が短パン+ビーサンで、このテラスに座ってパスタを食べてました。
この店、もう長いことずっとミシュランの2つ星を獲得してますけど、そんなことココ南イタリアでは関係ありません。
昼だし、テラスだし、ね。
で、昼に短パンで出かけようといいのですが、ほんと南イタリアまで行ったら、このレストランに足を伸ばさないと、もったいないです。
来日したシェフ・ジェンナーロの料理を食べたことがありますが…
ハッキリいって〝太陽の味〟が、しませんでした。
ワタシA
もちろんおいしかったですけれど、
シェフの真髄を感じさせる味じゃありません。
やっぱり、あの南イタリアの太陽を感じながら食べないとです
だから南イタリアに行くなら…、
いや、この店に行くために、南イタリアに行ってください。
で、トッレ・デル・サラチーノのあるヴィーコ・エクエンセという街、日本にはなじみのないところではありますが…
料理イベントに合わせて南イタリア旅行を計画?!
じつはこの街、毎年初夏に、イタリア中のスターシェフが勢ぞろいして、料理をみんなに振る舞う「フェスタ・ヴィーコ」が開かれるという、食いしん坊にはたまらない街です。
3日間、いろいろなイベントでさまざまなシェフのお料理が食べられます。
入場料はイベントによって20、120、250ユーロ(約2,600、1万5500、3万2000円)。
収益はすべてさまざまな団体に寄付されるチャリティーイベントです。
だから、このイベントに合わせて、南イタリア旅行を計画するのもアリかもしれません。
フェスタ・ヴィーコのサイトへ
(残念ながら2020年の情報が最後で更新されてません)
で、こんなおいしくも、素敵なフェスタの音頭をとっているのがシェフのジェンナーロで、もちろん彼の料理も登場します。
カリスマが作ったトマトとパスタの味は、一生忘れない
シェフのジェンナーロ・エスポジートは、50歳。
にこやかに笑顔で迎えてくれる彼ですが、食材へのこだわりは完璧主義です。
南イタリア=トマトというほど、トマトは大切な地元食材ですが、彼はその共同開発もしています。
「トマトはね、家ではなく、レストランで食べたいと思う味を追求してるんだ。
南イタリアは、よい食材とおいしい伝統料理のある地域。
だから、そこそこの料理を作るのは、そんなに難しいことじゃない。
でも、僕らが提供するのは、美しく楽しく、そして新しい料理、時代に受け入れられるものでなくてはいけない。
それが僕のスタイルだし、インターナショナルで通用するってことだと思うよ」
彼の料理は、シンプルな見かけと裏腹に、とても手の込んだ、しかも新しい調理法を取り入れた料理です。
しかも、そんな繊細な料理なのに、きっちりと食材の旨味をダイレクトに伝えてくれます。
●9歳で叔父の洋菓子店に就職
●ミシュラン・スターシェフのジャンフランコ・ヴィッサーニの元でインターンシップ
●22歳で現在のレストランをオープン
●31歳、ミシュラン1ツ星を獲得。同年、休暇中のアラン・ディカスに誘われ、パリの「プラザ・アテネ」・モンテカルロの「ルイ15」で研鑽
●33歳で『ガンベロロッソ」の3フォーク獲得 ・38歳、ミシュラン2ツ星獲得後、現在も連続獲得中
南イタリアの歴史も感じられるレストラン
「トッレ・デル・サラチーノ」は、1300年前に建てられた見張り塔をベースにしつらえられてます。
店名の〝トッレ〟は塔で、〝サラチーノ〟はサラセン人(中世ヨーロッパでイスラム教徒を指す)という意味ですから、「サラセン人を見張る塔」だったんです。
イタリアはスペインと違って、アラブに征服されませんでしたが、スッタモンダは日常的だったもよう。
シェフもこの塔の歴史的意義は気に入っていて、お店のロゴマークにも使ってます。(サイトで見てね)
イタリアのシェフは、多かれ少なかれその長い歴史をアイデンティティとして料理しているように思います。
直接料理に反映されていることもあれば、そこはかとなくということもありますが…
で、1300年も昔の石の壁に囲まれて、食前酒の一杯でも飲むと…
やっぱイタリアってスゴいわと思っちゃいます。
ワタシA
〝710年でナントきれいな平城京〟ですから
奈良時代のころの石壁なんですよね
で、そんな塔の中にウェイティングバーがあり、地下には、ゴクリ生唾もののワインが並ぶセラーがあります。
隣接したダイニングは、白を基調にしたモダンな造りで、7世紀の見張り塔と好対照。
ナポリ湾の陽光と潮風が通り抜ける、とっても快適な空間です。
まとめ
イタリアはもちろん、スペインやフランス、そして最近注目のペルーでも、おいしいものはたくさん食べてきました。
でいまのところ、この「トッレ・デル・サラチーノ」が、ワタシの中では世界最高のレストランです。
もう何年もベスト1。
それほど、おいしかった…
・6皿コース 175ユーロ(約2万6000円)
・8皿コース 195ユーロ(約 2万8600円)
・12皿コース 245ユーロ(約3万6000円)
*ワインペアリングはそれぞれ+130ユーロです
ワタシはそうとうケチですが、この値段はシェフの料理を考えたら、とても安いと思います。
シェフ・ジェンナーロの人柄からにじみ出る、温かくも繊細な料理は、ほんとうに感動ものなので、ぜひ、お出かけください。
LA TORRE DEL SARACINO | ラ・トッレ・デル・サラチーノ |
住所 |
Via Torretta 9, Vico Equense, Napoli |
営業時間 | ランチ:12時30分〜14時15分 ディナー:19時30分〜22時 |
休み | 日曜夜&月曜終日、火曜昼 |
公式サイト | トッレ・デル・サラチーノのサイト |
電話 | +39-081-802-8555 |
*ちなみに南イタリアは、とくにクラシックな人柄のイタリア人が多いです。
コミュニケーションに困ったら>>イタリア旅行。言葉に困ったら、マンマがゲット・アングリーで乗り切る!
Copyright © tabi-travell.com All Rights Reserved.