シュノンソー城|愛と憎しみの歴史を味わうロワールワインならコレ!

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シュノンソー城のワインのサムネイル画像

パンデミックもようやく下火になり、海外旅行も楽しめるようになりました。
とはいえそう頻繁に行け旅行ではないので〝おうちで〟海外旅行は続きます。

今回は〝歴史を肴に呑む〟シリーズ。

ヴェルサイユ宮殿に次いで人気のフランスの城、シュノンソー城の愛と嫉妬の物語をつまみに、お膝元の蔵元クルトー・タルデューの「 ソーヴィニヨン レ・マゼル」を呑みます。

シュノンソー城で繰り広げられた王妃と愛妾の愛憎劇

シュノンソー城の川側の外観

シュノンソー城とはフランスのロワール渓谷にある、16世紀、ルネサンス様式で建てられた城です。
シェール川に架かる美しいアーチ橋が特徴で、王侯貴族のさまざまなエピソードでフランス史にも深く関わります。

なかでも有名ワクワクなのが、王妃カトリーヌ・ド・メディシスと愛妾ディアーヌ・ド・ポワチエ侯爵夫人の物語。
愛と憎しみの歴史ドラマです。

名画にもなったディアーヌの美貌に王さまメロメロ

ディアーヌ・ド・ポワチエの肖像画

ディアーヌ・ド・ポワチエは美貌で知られるルネサンス期のフランス女性。
その美しさはルーヴル美術館の名画『狩りの女神ディアナ』にも描かれます。
さらに彼女は知的で芸術にも通じる才色兼備。
そして政治的手腕をも持ち合わせ、王であるアンリ2世にアドバイスし、国政にも関与していたといわれてます。

ディアーヌは夫の死後、まだ王子だったアンリ2世の母親代わり兼家庭教師的な立場に。
その後10歳年上の愛妾として、王の信頼と愛情を得ました。

そしてアンリ28歳、敬愛とともにディアーヌにシュノンソー城を贈ります。
ちなみにディアーヌ38歳の熟女でありました。

メディチ家のプライド、カトリーヌ・ド・メディシス怒り狂う

カトリーヌとアンリ2世の結婚式

さてさて一方の王妃カトリーヌ・ド・メディシスは、イタリアの超名門メディチ家出身です。
14歳でフランスに嫁ぎますが、当時はフランスよりもイタリア文化のほうが断然上!
知性も文化芸術への素養もそりゃ凄かったわけです。

アンリ2世とディアーヌが愛人関係になったとき、まだカトリーヌは20代前半。
イタリア、メディチ家の威信をもってしても、10歳年上のディアーヌの前に敗北感を味わう…
プライドは傷つけられ、権力への執着もより増すこととなります。

そんな折のシュノンソー城プレゼントですから、王妃、怒髪天を貫いちゃいますね。

約10年の歳月が流れ、アンリ2世が死去。
王妃はここぞとばかりに城をディアーヌから奪取し、さらには幼い息子のシャルル9世の摂政として権力をふるいます。
そしてシュノンソー城を自分好みに改修し、城の歴史に王妃カトリーヌの足跡を刻みました。

シュノンソー城に遺るふたりの美への確執

愛妾ディアーヌは城を贈られてから、城に美しい庭園をくわえました。
さらにシェール川にアーチ状の橋を架け、橋の上に自分の住まいを建てるという独創的なセンスを発揮。
この姿はいまでもシュノンソー城の大きな特徴のひとつです。

城内のカトリーヌ王妃の寝室
by Yakov Oskanov / Shutterstock.com

かたや王妃カトリーヌは権力と格式を誇示する豪華な住まいを、ディアーヌの住まいの反対側に建てます。
長い廊下をふくむ絢爛豪華な雰囲気も、もちろん現在のシュノンソー城の特徴のひとつです。
〝ほほほ。わたくしこそ天下一の王妃よ〟というカトリーヌの声が響き渡るような…

とまあ妄想もふくめ、シュノンソー城にまつわるふたりの女性の物語を肴にワインを呑みます。

城下のワイナリー、ロワールのクルトー・タルデュー

さて〝愛と憎しみの城〟をつまみに呑むのは、クルトー・タルデューの「ソーヴィニヨン レ・マゼル」2018です。

ワイナリー、クルトー・タルデュー

コルク栓の画像

クルトー・タルデューはシュノンソー城のほど近くにある有機ワインの蔵元。
2020年にクルトーが引退し、いまはタルデュー=ガルと改名されてます。

タルデュー=ガルではおもにソーヴィニヨンブランを生産し、独自のスタイルやブレンドで人気の蔵元です。
この地域で手作業での収穫を行う数少ないワイナリーのひとつでもあります。

ソーヴィニヨンブランをちょい復習

白ワインのブドウ品種ソーヴィニヨンブランは世界的にも人気で、爽やかな酸味と果実味が特徴で、いろいろな料理との相性がよいといわれてます。
とはいえ気候風土で味わいも特徴も変わってくるので、ソーヴィニヨンブランの代表産地の特徴をおさらいです。

ロワールミネラル感が強く、シトラスなどの白花の香りが特徴。
酸味も強く、爽やかでエレガントな味わい。
ボルドーほかの白ブドウ品種とブレンドされ、複雑さをもたらす役割が多い。
柑橘系、果実系の香りにバニラやトーストのニュアンスも。
口当たりがなめらかで、豊かな味わいが特徴。
ニュージーランドグーズベリーやパッションフルーツ、ハーブの香りが特徴。
独特のトロピカルフルーツ風味、強い酸味とフレッシュな口当たり

ソーヴィニヨン レ・マゼルを呑んでみた

ワインのエチケット

今回シュノンソー城にかこつけて呑んだワイン「レ・マゼル」は畑の名前ですが、この畑、古代ローマ遺跡に隣接しています。
つくり手としては、そんな歴史的ロマンも意識して有機ワインに取り組んでるとのことでした。
年間2,190本生産。

レ・マゼルの特徴、魅力

手作業で収穫されたブドウをダイレクトプレス。
野生酵母を使い発酵させ、砂糖をくわえず、ごく少量の亜硫酸塩のみを使用。
ステンレス鋼タンクで熟成されます。
フレッシュな柑橘系の香りとミネラル感、バランスの良い酸味が魅力です。

レ・マゼルが生まれる土壌

シェール川を見下ろす南西向きの畑レ・マゼルの土壌は、石灰質と粘土質が混ざり合った特徴的なもの。
これが、独特のミネラル感と複雑さをワインにもたらしてます。

さて、実際呑んでみて

先に告白するとワタシ、ロワールワイン全般あまり好きではありません。
そんなで呑むなという話ですが「シュノンソー」というワードに惹かれました。

で口にふくむと、まず酸味と少しの苦味が…
この苦味決してヤじゃありませんでしたが、少しして消えておりました。
その後も時間をかけて呑みましたが、かなり味が変わるワインという印象。
なんだろ、存在感はあり続けるけど、感じよくこ慣れてくみたいな。

とはいえミネラル感というか鉱物感はつづきます。
ワタシ的にはこの鉱物感に合う料理が悩ましかったです。

こじつけですが、この辺りが〝愛と憎しみ相まって〟のシュノンソー城にふさわしいというか。
ゆっくり時間をかけて楽しめるワインでした。

ペアリングする料理

ワイナリーの公式サイト(https://tardieux-gal.fr/)には

  • 食前酒としてプチフールと合わせ
  • 前菜のホワイトアスパラともよろし
  • 料理は子牛のすじのオーブン焼き、秋野菜ときのこを
  • チーズはアルプス産の牛乳のチーズ
  • デザートは洋梨のポシェ、ビターオレンジの温かいビスケット添え

用意できたのはグリュイエール。
たしかに合いました。

ホワイトアスパラはオリーブオイルをかけるのか、ソースをかけるのか?
ある程度濃厚なソースのほうが合う気がします。
春野菜のサラダでも呑みましたが、ドレッシングも濃厚系が合いました。

家にあったものでいちばん合ったのはスモークサーモン。
サーモンのねっとり感がよきマッチングでした。

*コメントにておすすめペアリング募集します

シュノンソー城周辺のおすすめ観光

上空から見たシュノンソー城

旅のブログなので、ここでシュノンソー城界隈のおすすめ観光も少し。

  • ロワールですから、アンボワーズ城やシャンボール城、ヴィランドリー城などの城巡り。
    いずれも庭園の美しさ、城周りのカフェ、レストランは楽しいです。
  • 城の近くにはタルデュー=ガル以外にもワイナリーがたくさん。
    見学してテイスティング、購入というワイン好きにはたまらんワイナリー巡りも。
    ドメーヌ・ドゥ・ラ・パレーヌ/Domaine de la Paleinehttp://www.domaine-paleine.com/
    シャトー・ドゥ・ミニエール/Château de Minièrehttp://Château de Minière
    *ロワール渓谷ワイン観光局のサイトhttps://www.vinsvaldeloire.fr
    各ワイナリーやワインの特徴、イベント情報などが掲載されてます

ソーヴィニヨン レ マゼルの日本での入手方法

今回呑んでみたクルトー・タルデューの「ソーヴィニヨン レ・マゼル」は日本でもオンラインなどで購入できますが、なかなか至難。
他の蔵元の「レ・マゼル」がヒットすることが多い。
しかも2018年のものを探すとなるとさらに難しそう。
それでも、シュノンソー城に想いをはせて呑むワイン、探してみてください。

クルトー・タルデューの「ソーヴィニヨン レ・マゼル」2018はヴァンクロスhttps://www.vin-x.jpで輸入してましたが、現在取り扱いがあるかは分かりません。

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