【カインとアベル】の美術|聖書の解釈はどうなん?

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カインとアベルのレリーフ画像

カインとアベルの物語。

月9や韓流ドラマにもなった題材なので、なんか兄弟の話とくらいはご存知かと。

人類最初の殺人事件と形容されますが、ジェラシー、嫉妬による事件です。

画家や彫刻家、多くのアーティストが取り上げてる題材。

  1. エピソードの内容
  2. 聖書の解釈
  3. カインとアベルの作品

そんな順番で見ていきます。

兄カイン、神さまのツレない対応に呆然!

Peter Paul Rubens - Cain slaying Abel, 1608-1609
ルーベンスの「アベルを殺すカイン」/ コートヤードギャラリー蔵(英国)

いきなり登場のカインとアベルですが、この兄弟、楽園を追われたアダムとイブの息子です。

兄カインは農夫。

弟アベルは羊飼い。

で、ふたり揃って神さまに収穫したものを捧げるんですが…

神さま、アベルの献上した仔羊だけ受け取って、カインの作物には見向きもしない。

そ、そ、そんな。

失意のカイン怒りふつふつ。

やがてアベルへの嫉妬心が燃え上がり、ついには殺してしまうという暴挙に出ます。

で、カイン追放。

これが聖書「創世記」が綴るカインとアベルの物語のあらすじですが、なんかモヤっとしますよね。

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カインとアベルのレリーフ画像
ミランの大聖堂のファサード「アベル殺しのカイン」

汗を流して収穫したカインの捧げ物をスルーした神さま…

そんな神さまのツレない対応がなければ、カインだって殺人事件はおこすまい。

あまりに理不尽じゃ!

と、このカインとアベルの物語の解釈もいろいろあるんですが、大きな理由に挙げられるのは2つ。

  • カインが収穫した土地は、アダムとイブが追放された呪われた地だから
  • 捧げもの=血を注ぎ出すことがなければ、罪の赦しはない

って、そもそもカインの捧げものは受け取ってもらえないものだったと…

なんかなぁ。

聖書も現実といっしょで不条理よねと、思ってしまうノン・クリスチャンなのでした。

ま、殺されちゃうアベルの立場もないんですけどね。

カインコンプレックス

心理学者のユングは「カインコンプレックス」として、親の愛(聖書では親つまり神さま)を巡る兄弟間の問題心理を名づけました。

一般的にも〝お兄ちゃんばっか〟〝いつも弟が得する〟みたいな感情ありますよね。

カインの事後対応が問題

殺人を犯したカインは追放されますが…

カイン、神さまにアベルの行くえを聞かれたときに「知りません。私は弟の番人ですか?」と返事しちゃいます。

コレ、人類最初の〝嘘〟。

思い出してください。

両親のアダムとイブも林檎を食べた後で、罪のなすりあいしてました。

事後対応を誤ると〝追放〟という報いが待ってるわけです。

神さま、怒ると怖い。

カインとアベルの美術作品

Jacopo Tintoretto - The Murder of Abel - WGA22654ティントレットの「アベル殺人」/ ベネツィア アカデミア美術館蔵

カインとアベルの説話は、分かりやすさと〝人殺しダメ絶対〟という教えを説く意味でも、古くから教会の彫刻や絵画にも取り上げられてきました。

素朴なロマネスク教会の柱頭彫刻にもよくある。

この記事のトップで紹介してるミラノのドゥオモの彫刻にも取り上げられてます。

絵画だとイタリア・ルネッサンスのティントレットの作品(ベネツィア アカデミア美術館所蔵)がわりと知られてるでしょうか。

ティントレットの師匠ティツィアーノも「アベルを愚弄するカイン」(ベネツィア サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂所蔵)を描いてます。

冒頭画像でご紹介した作品、巨匠多筆のルーベンス(ロンドンのコートールド・ギャラリー所蔵)が描く、カインの蒼白の顔も怖い…

【カインとアベルのファッションに注目!】
ふたりが毛皮を身につけてることをチェック(ときにどちらか裸だったりしますが)。イチジクの葉っぱで腰を覆った両親、アダムとイブとの違い。人類は神さまから、毛皮をまとうことを教わったのでありました。

ソロでも人気題材のカインとアベル

アベルの彫像の画像
アベルの彫刻 / エルミタージュ美術館

カインとアベルを取り上げるアーティストは多いですが、それぞれソロ活動も。

パリのチュイルリー公園には、アベルを殺した後ひとり嘆くカインの彫像(1896年アンリ・ヴィダル作)があります。

ロシアのサンクトペテルブルグにあるエルミタージュ美術館には、上の写真の作品。

死後のアベルが横たわる姿ですが、なんともセクシー(1844年ジョバンニ・ディプレ作)。

苦悩のカインと無垢のまま亡くなったアベル…

どちらもアーティストの創作意欲をかき立てるのでありましょう。

Accademia (Venice)
©︎Didier Descouens

 

ティントレットの作品があるのはべネツィアアカデミア美術館

大運河沿いに立つこの美術館には、14-18世紀のべネツィア派絵画のコレクションが充実してます。

今回のティントレットのほかに、ベリーニティツィアーノヴェロネーゼといったそうそうたる画家の作品があるので必見。

ダ・ヴィンチの有名な「プロポーションの法則」も、このアカデミア美術館にある。

Da Vinci Vitruve Luc Viatour
ダ・ヴィンチの「プロポーションの法則」別名「ウィトルウィウス的人体図」/wikipedia

*フィレンツェのアカデミア美術館(ミケランジェロのダビデ像所蔵)とは別です。

開館時間

火-日曜:8時15分-19時15分

月曜:8時15分-14時

 

休館日基本年中無休
入場料12ユーロ
公式サイトアカデミア美術館公式サイト

まとめ

カインとアベル。

なんとなく聞いたことはあっても、詳しく内容を知らない方も多いのでは。

宗教作品にはとても多く登場する物語なので、次回の旅では注意してみてください。

絵画だけでなく、教会の外などあらゆるところに登場してます。

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次回は【ノアの方舟】です。

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