ピレネー山脈のふもと、アラゴン州の北部には中世の小さな村が点在しています。
で、この村々が美しいだけでなく、それぞれに異なる趣きをかもし出してるのが魅力です。
ここアルケサルには、そこはかとない〝アラブな〟香りが漂う。
小高い丘に寄り添うようにある街の姿は、どこか〝隠れ里的な〟密かな雰囲気に包まれてます。
イスラムの砦として築かれて、長いことキリスト教の城砦アインサと対峙してきたのだとか。
アルケサルも「スペインの最も美しい村」のひとつです。
街中は高低差あり、クネクネと曲がる路地あり。
そんなアルケサルを堪能したら、おすすめ名菓でお茶を一杯どうぞ。
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>>アインサ【スペインの最も美しい村】は可愛ゆくも伝説上の中世の街
目次
渓谷を見下ろすロケーション
アルケサルは、30kmほど北に位置するキリスト教国の街アインサに対抗するために、9世紀に築かれたイスラム教徒の砦です。
その後11世紀にアラゴン王が奪いもどし改修して、いまに至るという。
日本が平安時代のころのお話です。
ピレネー山脈のふもとに広がる自然保護区内、美しい渓谷を見下ろすロケーションは最高にこころが安まります。
砦だったので、見晴らしもちろん大事ということ。
遠くからアルケサルを眺めても絵になるし、アルケサルからの景観もよしという観光スポットです。
で、どこか隠れ里的なしっとり静かな趣きがあって、それがアルケサルの魅力を増してます。
さすがの「スペインで最も美しい村」でしょうか。
*「スペインで最も美しい村」は協会があり、2019年68の村が加盟してます。
登録基準と審査をクリアした村だけが名乗れる呼称です。>>詳細はコチラ
アルケサルの頂にサンタ・マリア参事会教会
アラブの砦は12世紀、ロマネスク様式の教会へと改修されました。
それでも城壁や3つの塔など、オリジナルがまだ遺ってます。
高台のもっとも目を引く部分なので、だからアルケサルにアラビックな印象をもつのかもしれません。
台形のロマネスクの回廊
11時、管理のお兄さんが鍵を開けてくれます。
北近江、隠れ里に点在する観音像をまもる地元の人と同じ感じです。
お寺としては機能していないけれど、大切な観音様を祀ってる…
この教会もそんなことなんだろうなと思いました。
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と、教会の扉を入ると、まず目に飛びこんでくるのが回廊です。
ふつう長方形か正方形ですが、この参事会教会の回廊は台形。
もともと砦だったものを改修したので、こんな形になったのかもしれません。
回廊の2階部分は、16世紀に建て増しされ、いまは小さな美術館になっています。
ほっこり、みごとな柱頭彫刻
ここアルケサルの参事会教会の柱頭彫刻も素晴らしかったです。
アダムとイヴ、ノアの箱船など旧約聖書の物語が表現されてますが、上の彫刻は「三位一体」を表したものだそう。
「父と子と聖霊」が一体となって「神」になるわけで、たしかに3つの頭をもった人物(?)がいますが…抱えられてるのはキリストか?
写真を撮るのに夢中で確認し忘れました。
どなたかお分かりになる方、ご教示を!
回廊の壁面には15世紀のフレスコ画
回廊の壁面には、ロマネスクのほっこり柱頭彫刻とは違うタッチのフレスコ画で、キリストの生涯が描かれてます。
15世紀に描かれて、18世紀に修復されたもよう。
聖母マリアの瞳がクリっとしていて、ちょっと漫画風なのが面白かった。
礼拝堂への入り口はムデハル様式か!
回廊から礼拝堂への入り口が、みごとなスタッコ(漆喰装飾)だったので、イスラム?と思いましたが…
16世紀、ゴシックとムデハルとルネサンスの様式が融合されてるらしいです。
ちょっと見落としがちな場所だけど、回廊のほかのスタイルとまた異質なので、へぇーって思います。
修復した人たちも試行錯誤というか…
「おい、ココどんな感じにする?」
「ゴシックも飽きたから流行りのルネサンスいっちゃう?」
「ま、歴史を考えてムデハル(イスラム教様式とキリスト教様式の融合)も外せんやろ」
と、そんな会話が…いや、妄想…失礼しました。
礼拝堂には17 世紀、バロックスタイルの素晴らしいオルガンもあります。
ロマネスクのキリスト像は足を交差させてない
地元の有力者レシーナ家の礼拝堂には、13世紀ロマネスクのキリスト像が、17世紀バロックの祭壇の中に飾られてます。
ロマネスクの時代はまだ技術が成熟していなかったので、磔刑のキリスト像の足はまっすぐなんだそう。
たしかにロマネスク後の磔刑像は、足を交差させてるものが多いです。
アップダウンにクネクネ路のアルケサル
アルケサルの街中の路、なんだかクネクネ曲がっていたり登ったり降りたり、階段あったりでちょい迷路です。
アラブの砦だった時代、敵が攻め込んできても右往左往するようにしたためトカいう話もあるようですが、真偽のほどは分かりません。
でも、たしかに、上り坂の先って何があるか分からないので、奇襲攻撃にはアリですね。
旅人にはワクワク感でしかないですが。
路のど真ん中に家があるというのもスゴい。
この場合、左から攻め込まれたら、右から逃げられます。
ま、そういう意図で建てられたのかは分かりませんが。
にしても面白いです。
と、コレはアラゴン地方に伝わる魔除けだそうです。
イノシシの足…
ドアに下げたりもするそうで、なかなかにワイルド。
アルケサル名菓はサクサクでうまい
パン屋さん兼カフェの「ラルティカ」に入ります。
アルケサルのあるウエスカ地方の伝統菓子「ドブラリージョ」。
アーモンドとシナモン、蜂蜜、アニスなどを使った薄くて細長いお菓子です。
お値段1枚 4ユーロ60(約580円)
いろんな種類がありますが、サクサクっとしてて薄いのでけっこうたくさんが食べられます。
お菓子を買っただけでお茶はしませんでしたが、テラス席だと渓谷の素晴らしいパノラマを眺めながらお茶が飲めるようです。
このロケーション、ちょっとお店の自慢。
L’Artica | ラルティカ |
住所 | 1 Calle Iglesia, Alquezar, Huesca, Spain |
営業時間 | 8時〜 |
休み | 不明 |
公式サイト | ラルティカのサイト |
電話 | +34-615-417-396 |
アルケサルへの行き方と所要時間
アルケサルに行くにはやはりクルマが便利。
レンタカーあるいはこの地方の県庁所在地ウエスカからタクシーが現実的でしょう。
距離にして43kmで、5〜6,000円だそうです。
クルマなら45分ほどでいけますが、バスだと2時間半くらいかかります。
言葉のことなど心配な場合は、地元の旅行社に移動手段をリクエストする方法もあります。おすすめの旅行社はこちらhttps://endestino.jp
スペインの小さな街の旅行社の日本人スタッフが最高です!
アルケサルの観光所要時間の目安は、2-3時間。
お茶を飲む時間を入れて、3時間という感じです。
アルケサルに行くなら、界隈の「スペインで最も美しい村」であるアインサとロダ・デ・イサベナを合わせて巡るのも楽しいと思います。
3つの村、近くにあるのに全然雰囲気が違うので、比べてみると面白いです。
>>【スペインの最も美しい村】の回り方❶ピレネーの麓3村がすっごく魅力的だ
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