旧約聖書の創世記に出てくる有名な話が「ノアの方舟」。
神が人類の堕落に激怒して、大洪水を起こすエピソードですが…
洪水前。
神は〝正しい人〟ノアに命じて大きな舟をつくらせ、地球上さまざまな動物のつがいと家族を乗せて大洪水をやり過ごさせます。
そして、聖書には洪水が引いてからの話、ノアが酔っぱらってナンテ話まであるので絵画作品とともに紹介です。
目次
「ノアの方舟」の名画は少ない
エピソードとしては超有名なノアの方舟ですが、名画はナイというのが定説。
かのラファエロも方舟をつくってる絵を作品に遺してますが、まぁねという。
上の画像は、ルネサンス初期の代表的な画家ウッチェロの最高傑作「大洪水と終息」。
たぶん、このフレスコ画が「ノアの方舟」関連の絵ではピカイチと思います。
ただ、残念ながら風雨にさらされる修道院の回廊に描かれているだけでなく、1966年のフィレンツェの大洪水もあって、コンディションがあまりよくありません。
でも〝遠近法〟で知られたウッチェロらしさの伝わる作品。
画面左に洪水で逃げまどう人々、画面右に洪水の終わりと分かるシーンと、2画面構成になってます。
右奥、方舟から出てきてるのが、ノア。
右手前大きく描かれてるのがローマ教皇で、2つの方舟が東西に分裂したローマ教会とギリシャ教会を表してるとか。
この絵の制作は1447年で、フィレンツェでは1439年に分裂した教会が歩み寄るための宗教会議が開かれてます。
洪水の終わりを告げる鳩
神さま怒りの大洪水。
聖書の創世記には、洪水は40日40夜つづいたと記されてます。
40日後、ノアはカラスを放すも止まるところがなく舟に帰ってきます。
さらに7日後、鳩を放すと、鳩はオリーブの葉をくわえて船に帰還。
そして、さらに7日後に放した鳩はもう戻ってこなかったので、ノアは水が引いたことを知り、船を降りました。
上のミレイの作品は、オリーブの葉をくわえて鳩が戻ったところを題材にした作品。
ふたりの少女それぞれの表情が希望とも安堵とも取れて、秀逸。
スゴい雰囲気出てますよね。
ミレイは作品「オフィーリア」が有名な英国の画家です。
神は虹をかけ、酔っぱらいノアはアラレもない姿を
大洪水というおしおきをした神さまですが「もう2度と洪水で世界を滅ぼさない。その約束のしるしとして虹を置こう」的なことをいって〝虹の契約〟を空にかけます。
この虹を題材にした絵画作品もいろいろありますが、おすすめはシャガールの「ノアと虹」。
ただ残念ながらシャガールは著作権がまだあるので、絵画画像を掲載できません。
ニースのシャガール美術館のサイトのトップページ右奥が「ノアと虹」なので見てください。
【関連記事】
アダムとイブの「楽園」「楽園追放」
善人ノアの呪いが怖い
さて地上に戻ったノアは、農夫です。
で、ある日ワインを飲みすぎて酔っぱらい、全裸で寝ちゃう。
そんなノアの姿を、息子のハム(画面真ん中)が見つけて、兄弟のセムとヤペテ(両端のふたり)を呼ぶわけです。
セムとヤペテは父ノアを見ないようにしながら、布をかけようとしています。
ハムはなんか笑って、ふたりの兄弟が布をかけようとするのを邪魔してるという…
・
酔いからさめたノアは自分を嘲笑したハムではなく、ハムの息子カナンを呪います。
カナンの子孫がセムとヤペテの子孫の奴隷となる予言。
直接ハムを呪うのではなく、子々孫々呪うって…
ノア、怒ると怖いです。
画家はベリーニ。
ベリーニはティツィアーノやティントレットらと同じベネツィア派を代表する画家のひとりです。
【関連記事】
ティントレット が描いた【カインとアベル】
まとめ
「ノアの方舟」のエピソードは知っていても、鳩がオリーブをくわえて戻る話(後に平和の象徴となる)やノアが酔っ払う話はあまり知られていないのでは?
ミケランジェロの「天地創造」にも方舟や泥酔したノアの絵があるので、ローマのシスティナ礼拝堂でもぜひ見てください。
【関連記事】
ミケランジェロの「天地創造」|システィナ礼拝堂
Copyright © tabi-travell.com All Rights Reserved.