行ったことのある場所が描かれた小説は読んでいてワクワクしますが…
まだ見ぬ国を舞台にした本もまた、妄想がふくらんでドキドキします。
この『太陽の王 ラムセス』は「読んだら絶対!惚れちゃうから」と友人がすすめてくれました。
たしかに。
かなりのイケメン、ラムセスです。
そして絶対、エジプトに行きたいっ! と渇望させられる本。
もうね。
生まれ変わるなら、考古学者ですよ。
目次
ラムセス大王、一大スペクタクル
ご紹介2冊めは『太陽の王 ラムセス』。
90過ぎまで、70年間近くファラオとして君臨した、偉大なるラムセス2世の生涯を描いた本です。
さすがのエジプト、ちょっとNHKの大河は太刀打ちできそうもない壮大なスケール。
舞台はいまでいうところの北はシリア、南はスーダンまでの広大なエジプト。
ナイル川を下ったり上ったり…
ワタシ、残念ながらまだ、エジプトに行ったことがないのですが、灼熱の太陽のもと輝くエジプトの姿が目に浮かぶような小説です。
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登場人物もキラ星のごとく…
海を切り開いちゃう〝十戒の〟モーゼ(この伝説は『太陽の王 ラムセス』内ではサラッと描かれてるだけですが)。
『イーリアス』や『オデュッセイア』を書いた大詩人ホメロス。
美の王妃、ネフェルティティ。
トロイ戦争の原因になった絶世の美女ヘレネ……
主役級がズラズラ登場するので、華やかこの上なしです。
ラムセス2世だけでなく、あらゆるタイプのイケメンたちが登場するのでマンガ『花より男子』ワールド版の雰囲気すら。
悪役も個性豊かにいろいろ登場するので、とにかく飽きさせません。
『太陽の王 ラムセス』全5巻、血湧き肉踊る
飽きないといえば、この『太陽の王 ラムセス』は5巻もあるのですが…
ちょっとタルくなるかなと思いましたが、心配無用。
飽きさせないどころか、濃いキャラがたくさん登場しますが、まったくもって混乱しません。
各巻、とても用意周到にストーリーが整理され、人物が配されてるんです。
このあたり、かなり緻密。
作家の手だれ感を感じます。
著者はフランス人のクリスチャン・ジャック。
エジプト学者にして、作家のクリスチャン・ジャックには多数の著作がありますが、この『太陽の王 ラムセス』は大ベストセラーで、世界25カ国以上で訳され出版されてます。
さすがのストーリーテラーというわけ。
豊穣のエジプト、ナイルの恵みが伝わる
『太陽の王 ラムセス』を読んでいると、何度もナイル川の氾濫というか増水の記述が出てきます。
ナイルの増水にどれだけエジプトが潤ったのか、恵みを受けて豊かだったかがひしひしと伝わってくるのです。
で、なにやら樹木多く果実もたわわな、オアシスなエジプトを思い浮かべることができます。
アガサ・クリスティの『ナイル殺人事件』も面白いですが、エジプト民族の話ではないので視線が変わって、両方読むのも楽しいです。
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また、エジプトがギリシャとは別の意味で神々の国だったということも、『太陽の王 ラムセス』を読んでると理解できます。
あちこちに神殿が遺っているのも納得です。
で、ヒヒだとかワニだとか、動物神もいろいろ登場して、ゲームの世界観。
パリのルーヴル美術館を思い出したワタシは、本末転倒なヤカラです…
とにかく、ぐいぐい惹きこまれて読んでるうちに、ナイル川を下る船に乗ってる感触がつかめます(ホントか!)。
歴史が感じられて、旅行に行きたくなるゾ
長編時代小説の一節を引用してもあまり意味ないと思うので(とくにこの作品は)、引用はしませんが、『太陽の王 ラムセス』を読んでると、1世紀近い中東の時代感がつかめるのは確実です。
『太陽の王 ラムセス』は小説ですが、著者はエジプト学者でもあるので、大枠のストーリーは史実に沿ってます。
エジプトの仇敵ヒッタイトとか出てくるんですが、ヒッタイトは世界史の教科書の最初ですぐに消えますが、エジプトはいまでも存続してるという事実。
こらスゴいことだわと、思ったりできるわけです。
ラムセス2世という偉大なファラオの物語を読んでるうちに、紀元前14-13世紀のエジプト新王国の世界に入りこめるという贅沢。
タイムマシン的な本の旅を終えるころには、行きたくなりますよエジプト!
ナイルの川下りをしましょう!
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