旅の本。
旅行の本といってもガイドブックではありません。
「この本読んでたら◯◯に行きたくなっちゃった」
「◯◯にまた行きたくなる! あの本読んだら!」
そんな本をご紹介していきます。
正直、思いつきではじめたので不定期連載です。
1冊ずつ増やしていきます。
じつは、本棚をヒトに見せるのって…ハダカを見せるのくらい恥ずかしい。
人間性、まるわかりですからね。
でも、旅するヒトにはけっこう役に立つと思いますし、ヘタなVR(バーチャルリアリティ)より断然、臨場感があって楽しめます。
手に汗握る「シグマフォース」シリーズ
ご紹介 1冊めなので…
ニーチェとかゲーテとかの本にして、カッコつけようかとも思いましたが。
クライム・サスペンスやミステリーが旅行と同じくらい好きなので、このジェームズ・ロリンズの本をご紹介することに。
アメリカで1,500万部を超えるベストセラーになってるシグマフォース・シリーズ。
歴史と謎と最新科学がからむミステリー・アドベンチャーです。
アメリカの架空の特殊機関シグマフォースは〝殺しの訓練を受けた科学者集団。
大学教授レベルの知識をもったネイビーシールズ or 007みたいな感じです。
で、とにかくシリーズ全編、世界中を舞台に展開されます。
いろんな観光地が登場。
今年の最新作では、日本が登場しているらしい。
各地の描写がリアルなので、行ったことのある場所が書かれてるとつい身を乗り出しますし、行ったことがないところでも、かなりリアルな疑似体験できます。
『マギの聖骨』に登場する観光地
このシグマフォース・シリーズの第1作が『マギの聖骨』。
『マギの聖骨』に登場する世界の街やスポットもかなり多いのですが、主な場所だけでも
- ケルン大聖堂
- イタリア・ローマ、ヴァチカン市国
- イタリア・コモ湖
- エジプト・アレクサンドリア
- フランス・アヴィニョン
- スイス・ローザンヌ
とまぁ、世界中あっちこっちに飛び回ります。
で、たとえばケルン大聖堂。
目の前に伸びる中央の長大な身廊は百二十メートル近くある。九十メートルほどの長さの翼廊が交差して十字を形成する中央部には、祭壇が置かれていた。しかし、ジェイソンの心をとらえたのは、大聖堂の大きさや広さではない。目もくらむような高さだった。上の方へと視線を向けると、尖った拱道、長い柱、そして丸天井と続く。
ージェームズ・ロリンズ.『マギの聖骨』
登場人物の気持ちを通してみるケルン大聖堂は、ガイドブックを読むよりはるかにイメージが湧きやすい。
そしてフランスのアヴィニョンでは、美術史に詳しくない読者の手助けに「ゴシック」についての説明をしてくれます。
「Gothicという言葉は、ギリシア語のgoeticに由来する。英語のmagicと同じ意味だ。そのような建築物は、不思議な力を持つと考えられていた。確かに、それまで見たこともないような様式だったからな。細い骨組み、飛び梁、信じられないような高さ。人々はおそらくこう思ったことだろう。建物が宙に浮いていると」
ージェームズ・ロリンズ.『マギの聖骨』
このセリフ、ヴァチカンの「ローマ法王庁考古学研究所所長」という設定の人物が語っているので、思わずフムフムと読み進めてしまうという。
歴史好きにもたまらない事物アレコレ登場
物語とともに語られる観光スポットの記述も楽しいのだけれど、さらに歴史好きにはワクワクするような登場人物や団体も出てきます。
アレキサンダー大王だのテンプル騎士団だの、エジプトのスフィンクスのなぞなぞなぞ…
ワタシはタイトルの〝マギ〟が聖人だというのを、この本読んではじめて知りました。
で、そう。
あの『ダ・ヴィンチコード』で有名なダン・ブラウンの小説同様。
歴史のひと幕、聖書の記述やらが次々と登場して、飽きさせません。
ちょっとズルいくらいの主役級を惜しげもなく登場させているので、面白いに決まってる!
日本史でいうと織田信長と西郷隆盛に伊賀忍者のストーリーからめたみたいな感じ?
ジェームズ・ロリンズうま過ぎでしょう
この『マギの聖骨』。
上下巻の長編なのですが、著者のジェームズ・ロリンズのうまさが際立って、とにかく惹きこまれてしまいます。
次々と展開される謎解きが、複雑ながらも説得力があって〝うまいっ〟と感心。
このロリンズ、映画『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』を小説化したりと、アクションシーンの描写でも高い評価を受けてる(訳者あとがき)そうです。
ベッドに持ちこんで読みはじめたら最後、明け方まで読まずにはいられない。
寝不足間違いなしの本です。
エビデンツがしっかりしてるから面白い
さらにシグマフォース・シリーズの著者あとがきには、事実とフィクションの部分を明確に教えてくれてるという素晴らしさです。
ええっ!という思いもよらぬ史実や、マジ?という超最先端科学技術が分かるだけでホーッと感心しちゃう仕組み。
おまけに読者の興味に向けて、著者おすすめの本までリストアップされてます。
ここまでキッチリしてると、ただのつくり話じゃないのがハッキリして、より魅力が増します。
ご存知の方も多いシリーズだと思いますが、もしまだ読んでいないようなら、そしてミステリー好きならぜひ! おすすめします。
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この『マギの聖骨』は、Amazon のKindle Unlimitedの無料体験(30日間)で読むことができるので、興味のある方は試しに読まれてみてはいかがでしょう↓
この記事はトラベルジャーナリストの大沢さつきが書いています
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