「聖書」の登場人物で、もっとも有名なカップルといえばアダムとイブ。
旧約聖書「創世記」に、蛇にそそのかされたイブが〝禁断の果実〟である林檎を食べ、アダムにも食べさせるというくだりがあります。
結果、ふたりは〝無垢〟を失い、羞恥心から葉っぱで局部を隠すようになるというお話。
最後は、神から楽園=エデンの園を追放され、人生の苦役を味わうことになります。
ご紹介するのはルーカス・クラナッハの作品「楽園」。
1枚の作品に楽園を舞台にした、アダムとイブのストーリーが描かれてます。
目次
林檎をすすめる蛇は、サタンの化身
ルーカス・クラナッハの「楽園」には、エデンの園での6場面が描かれてます。
上段右が、神がアダムをつくっているところ。
その左隣が、蛇が林檎を食べさせようとしているシーンです。
林檎を手にしているのが、蛇だって〜?
下半身をチェックです。
蛇はサタンの化身。
林檎は〝善悪の知識の木の実〟といわれてます。
ただ聖書には禁断の実が林檎と書かれてはなく、前回紹介した「天地創造」のミケランジェロはイチジクと考えていたようです。
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絵画中央、葉っぱをつけたアダムとイブ=イヴ
作品中央に描かれているのが、神がアダムとイブを問いただすシーン。
葉っぱで裸を隠してるので、ふたりが林檎を食べた後だと分かります。
葉がなぜイチジクかというと、イチジクは性欲や生産のシンボルだからと一説にはいわれてます。
神から問われたアダムはイブにそそのかされたと弁解し、イブは蛇に仕向けられたといいわけします。
結果、神はアダム(男)に〝労働の苦役〟を、イブ(女)には〝出産の苦役〟を与え、老いることと死の宿命を宣告。
かくして人類は楽園でホイホイ生きるのではなく、労働や出産、老いや死と向き合うことになります…
天使に追われるアダムとイブ=イヴ
最終的にアダムとイブは楽園を追われます。
左上でふたりを追い払ってるのが、大天使ミカエル。
ミカエルはもっとも偉大な天使とされ、西洋美術にもたくさん登場します。
ミカエルは〝剣をもつ〟聖なる戦士の姿で描かれるので、この「楽園」でも剣を振りかざしながらアダムとイブに向かってます。
ちょっとマンガぽいですけど…
でこのシーンは〝楽園追放〟〝失楽園〟といわれ、ルーベンスはじめ多くの画家が描いてます。
*天使ケルビムがふたりを追い払う作品もあります
「楽園」があるのはウィーン美術史美術館
ご紹介したルーカス・クラナッハの「楽園」は、オーストリアの首都にある「ウィーン美術史美術館」が所蔵。
ルーカス・クラナッハは15世紀、ルネサンス期のドイツで活躍した画家で、10点以上ものアダムとイブ関連の絵画を遺してます。
「ウィーン美術史美術館」には「楽園」のほかにクラナッハの「アダムとイブ」という作品もあるのでお忘れなく。
美術館はさすがハプスブルク家のコレクションが元になってるだけあって、名画が目白押しなのでぜひ訪問を。
開館時間 |
火-日曜:10-18時 木曜:10-21時
|
休館日 | 月曜(6-8月と10月15日-1月19日無休) |
入場料 | 16ユーロ |
公式サイト | ウィーン美術史美術館公式サイト |
まとめ
アダムとイブのエピソードはよく知られているので、親しみやすいですよね。
とくに蛇から林檎を渡される場面や楽園を追放されるシーンは、多くの画家が取り上げているので楽しんでみてください。
今回はご紹介できませんでしたが、スペイン、マドリードのプラド美術館にあるアルブレヒト・デューラーの「アダムとイブ」も必見。
美しいです。
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