北スペイン。
フランス国境となる、ピレネー山脈のふもとにたたずむ中世の街「アインサ」。
日本でも取り上げられはじめた「スペインの最も美しい村」のひとつであるこのアインサは、2018年秋の〝最も美しい村ランキング〟全68村中、第4位でした。
石づくりの端正な雰囲気。
1時間足らずで歩き回れる、こぢんまりとしたスケール感が心地よい街です。
山あいの澄んだ空気も清々しい。
そして、スペインのレコンキスタ(国土回復運動)の先駆けのひとつという歴史。
可憐な印象とはちょっと違うアインサのタフな伝説もあるんです。
- ピレネーをふくむ絶景
- マヨール広場中心の中世の街並み
- 歴史的な伝説
- おいしいレストラン
思った以上に奥の深いアインサの街でした。
目次
まずは城砦からアインサの美景
快適なお天気のもと、アインサに到着。
街の北西にある駐車場にクルマをとめて、まずは城砦の上から旧市街の雰囲気をパチリ。
空気が澄んでいるので、とても気持ちイイです。
左を見るとピレネーの山並みが美しく連なっております。
看板を見るとよく分かるのですが、アインサの街はアラ川とシンカ川が合流する三角州にあります。
で、地図の下側の駐車場にとめると、けっこうキツい坂道を登らなくてはならないので、青い矢印をつけた左上の駐車場にとめましょう。
〝中世〟のアーチが美しいマヨール広場へ
城壁をおりてアーチをくぐり、マヨール広場に向かいます。
トコトコ。
アインサの印象は〝アーチ〟。
こころに残る〝アーチな風景〟がたくさんある街です。
バードウォッチャーにはヒゲワシ情報
と、このアインサ、ヒゲワシを見られる街でもあります!
体長約1m、翼を広げると3m近くにもなるヒゲワシは、ピレネーで絶滅に瀕してましたが…
現在、200羽くらいにまで回復しているらしいです。
城砦の一角にヒゲワシ保護財団運営の博物館がありました。
でも…ワシの写真、ちっさ。
ワタシにはワシの写真を撮る才能がありません。
餌づけなどの人工的なことをしているわけではないので、必ず見られるわけではないですが、悠然と滑空してる勇姿はクールでした。
アラゴン地方有数の魅力的な広場
マヨール広場の両側がアーケードになってます。
そのアーチがまた美しい曲線を描いてます。
正面左がサンタマリア教会。
鐘楼が街を守ってる感じ。
スペインどこにも「マヨール広場」はありますが、アインサのマヨール広場はかなり美しい。
この広場はアラゴン地方建築の至宝のひとつである
ーミシュラン・グリーンガイド
*アラゴンとはアインサのある自治州の名前で、旧アラゴン王国のこと
カフェで日向ぼっこしつつお茶するのにぴったりな広場です。
広場の反対側から来るとこんな感じ。
市庁舎の入り口もアーチがきれい。
ちなみに飛んでるのはハトです。
ヒゲワシじゃありません。
ロマネスク様式のサンタマリア教会
11-12世紀に建てられた教会は、清く正しいロマネスク様式です。
ロマネスク好きのワタシですが、残念ながら時間がなく中には入れませんでした…
写真を見るに、ロマネスクの中でもかなりシンプル簡素な内部です。
地域の観光局のサイトによると、クリプタ(地下聖堂)があるもよう。
台形状の回廊、回廊の柱頭彫刻もシンプルで力強そう。
3枚画像があるのでのぞいて見てください→ソブラルベ観光局 アインサのサンタマリア教会のページ
鐘楼にも登りたかったのですが余裕ナシ。
負け惜しみなんですが…
写真で見る限り、鐘楼からの街の景色はアルバラシンのほうが美しいなと思います。
>>【アルバラシン】を「スペインの最も美しい村」にした人に観光案内してもらった!
端正な石づくりの街アインサ
マヨール広場を抜けて、街中をブラブラと。
なんだかとてもきれいなのですよ。
修復はされてるでしょうけど、アインサは中世の街。
決して新しいわけじゃないけど、クリーン。
お天気のせいもありますが、明るい印象です。
窓辺や玄関先のお花にも気を遣っているので、観光、おもてなしの意識が高いのでありましょうか。
気持ちよく散策できます。
もうひとつの絶景は展望台から
アインサはピレネーのふもとにある街なので、城壁の上に登れば遠景のピレネーがきれいに見えます。
城壁と反対側の展望台(といっても高台なわけじゃない)からは、準ピレネーの岩山ペーニャ・モンタネーザの迫力あるパノラマを楽しむことができるのでした。
アインサは趣のある中世の家並みもいいですが、くわえてのダイナミックな自然を堪能できるのも大いなる魅力です。
レコンキスタの始まりという勇者の歴史
アインサはもともとソブラルベという小国の街で、イスラムから国を奪還しようというレコンキスタの先駆けとなった場所だそうです。
イスラム勢力がイベリア半島を制圧したのは711年ですが、724にはキリスト教国家にアインサは戻ってます。
なんでも光り輝く十字架がカシの木の上に現れて、イスラム教徒相手に闘う戦士たちを鼓舞したという伝説が、アインサには遺っているくらいです。
アインサの勇猛さのおかげで、イスラム教徒がピレネーを越えてフランスに攻め込むことができなかったとも伝わってます。
11世紀にはアラゴン王国の街になり、城砦が建てられ、対イスラムの最前線として強固な守りを固めてました。
いまの可憐な街の雰囲気からは計りしれない、武勇伝をもつ街なのでした。
このアインサに対抗してイスラムの砦をつくったのがアルケサルという街。
>>アルケサルは【スペインの最も美しい村】の中でも隠れ里な魅力あふれる街
ベストシーズンは初夏〜初秋だけど
ワタシがアインサを訪れたのは11月下旬ですが、秋晴れの心地よさと少ないツーリストのおかげで静かに堪能できました。
でも、お天気がくずれてたら、ちょっと寒かったかと。
やはり初夏から初秋にかけてがベストシーズン。
周辺へのトレッキングなども楽しめてよさそうです。
ただ、当然のことながら観光客は増えます。
それとピレネーの雪景色を眺めたかったら、晩秋 or 春になります。
何を楽しむかですね。
アインサでおいしかったレストラン
マヨール広場を抜けてすぐの「ラ・ガルナッチャ」。
このレストラン、すごくおいしかった!
シーズンオフだったからなのか、ご夫婦ふたりのお店でしたが、おかあさんの料理の腕はかなりなもの。
おとうさんのサービスも、スペイン人なのに控えめで好感もてます。
まずは原産地呼称の「ハモン・テルエル 」。
白豚の生ハム、アインサのあるアラゴン州の南の街テルエル の名産です。
いわゆるハモン・イベリコ(イベリコ豚の生ハム)より、少しあっさりめの味かな。
エビのカルパッチョはレモンやオレンジが効いた爽やかな一品。
ちょいキャビアが乗っておりましたね。
アーティチョークのラビオリはトリュフとチーズのソース、ハムも入ってました。
しつこくないけど濃厚な味。
アーティチョーク好きとしてはかなりおいしい一皿でした。
前菜+メインディッシュ+デザートで、24ユーロ(約3,000円)。
さすが美食の国。
アインサのような山村にもおいしいレストランはあるのでした。
La Garnacha | ラ・ガルナッチャ |
住所 | Calle Mayor 1, Ainsa, Huesca, Spain |
営業時間 | 9時30分〜23時(月曜のみ12時〜16時・20時〜23時) |
休み | 水曜 |
公式サイト | ラ・ガルナッチャのサイトへ |
電話 | +34-974-500-009 |
アインサへの行き方
残念ながらアインサへの交通の便はよくありません。
それゆえの美村キープともいえるのですが…。
なのでレンタカーがいちばん便利。
タクシー利用もアリだと思います。
アラゴン州の州都サラゴサからだと約2時間・料金は約1万2000〜1万5000円とのこと。
アインサのある県庁ウエスカからだと、およそ半分の距離です。
バスだとサラゴサからは5時間半かかります。
アインサをふくめたピレネーの麓の【スペインで最も美しい村】を巡るなら>>【スペインの最も美しい村】の回り方❶ピレネーの麓3村がすっごく魅力的だ
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