シチリア、島の南東にあるラグーザは、シチリアで必ず食べなきゃのレストラン「ドゥオモ」は、郷土料理の進化形でも紹介したように、地味だけどとてもグルメな街。
世界遺産の街のひとつでもありますが、今回は名物のチーズを買いに行きます。
この「ラグザーノチーズ」がキュートな形で、クセのないおいしさ!
ぜひ、お土産に買って帰ってください。
真空パックにしてくれるのでOKです!
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シチリア島名物のチーズは、こんな街から生まれる
ラグーザの旧市街にある大聖堂(ドゥオモ)です。
美しくもぐるぐる巻き装飾のバロック建築で、なかなかエレガントな観光名所。
このバロック建築、界隈にたくさん残っていて、世界遺産に指定されてます。
で、ラグーザの街は、シチリアの南東を走るイブレイ山地のふたつの丘にあります。
それぞれの丘に、旧市街と新市街がひょうたん型にならんでて、新市街のほうがちょっと高いロケーション。
新市街から旧市街を眺めると、こんな感じで見下ろせます。
緑に囲まれてて、のどか。
穏やかないい街です。
こんな環境でつくられてるのが、「ラグザーノチーズ」であります。
名物ラグザーノチーズは、希少価値の高い伝統チーズ
ちょうど、旧市街を歩いていたら、こんな便利なものがあったのでパチリ。
ラグーザとシチリアの特産チーズが紹介されてます。
1段めの食パンみたいな2本が「ラグザーノチーズ」。
3段めにも食パンみたいなのがあって、〝ジピッポというブドウを飲ませた〟とあるんですが、ちょっと不明です。
1段めの右のチーズには「ラグザーノDOP」と書いてあります。
ざっくりいうと「関サバ」という名称に政府のお墨つきを与えるみたいな感じ
シチリアでDOP指定を受けてるチーズは「ペコリアーノ・シチリアーノ」と、この「ラグザーノチーズ」だけです。
で、さらに。
「ラグザーノチーズ」は、スローフード協会の「プレシディオ」(希少で地域の活性化になると思われるもの)の認定も受けてます。
このままだと無くなってしまう恐れのある、地方の食材や料理を〝味の箱舟〟に選んで守ろうってことなんですが、DOPチーズでは「ラグザーノチーズ」だけが選ばれてるんです。
それほどにして守るほど、おいしいチーズということでありますね。
もう1本の左のチーズに関しては、このあと説明します。
お土産にもおすすめな、ちょっと塩味なチーズ
「ラグザーノチーズ」の熟成家として知られる、アンジェロ・ディ・パスクアーレさんのお店に行ってみます。

新市街にある「ディパスクアーレ・フォルマッジョ」。
このお店の「ラグザーノチーズ」は受賞歴もあり、店内にはさまざまなチーズやハム、サラミなどの食肉加工品もならんでます。
上の写真が「ラグザーノチーズ」ですが、形だけでなく、大きさもほぼ食パンサイズ。
でも重さは1本、約16キロもあります。
昔、船でアメリカに輸出していたときに、積みこみやすいようにこの直方体の形になったんだとか。
牛乳からつくる「ラグザーノチーズ」はクセがなく、塩味なので日本人にもなじみやすいです。
しっとりはしてますが、クリーミィではないです。
お店でカットして真空パックしてもらえるので、もちろん日本にも持って帰れます。
ちなみにお値段、1キロ約14ユーロ(約1,700円)。
検索したところ、日本では100グラム980円の値段がついていたので、9,800円しますね。
シチリア名物はこうしてつくられる
アンジェロさんに「ラグザーノチーズ」を熟成しているセラーに、連れて行ってもらいました。
もともと、おいしい「ラグザーノチーズ」は、地元イブレイ山に放牧されて、100種以上のハーブを食べて育つ牛、モディカーナ種の乳からつくられたのだそう。
ところが、このモディカーナ種、乳量が少ないんですね。
そこで乳量の多い牛からつくるのが主流になってしまったそうで、このモディカーナ種、いまや100頭弱くらいしかいないのだとか。
なので、現在売られている「ラグザーノチーズ」には、100%モディカーナ乳のものと、何種類かの牛乳からつくったものがあるというわけです。
旧市街で見かけたチーズの写真の左にあったのが、100%モディカーナ乳でつくられた「ラグザーノチーズ」だったんです。
チーズは約100日間、セラーで寝かせて育てます。
アンジェロさんいわく、とにかく自然の環境がいちばん!
夏場少しだけ冷蔵庫に入れたりもするそうですが、自然の温度と湿度、そしてハーブの薫る風が、おいしいチーズを育てるってことなんですって。
日持ちするから、シチリアのお土産におすすめできる
「ラグザーノチーズ」は塩気があるので、チェリートマトのジャムとか、オレンジとシナモンのジャムが合うと、アンジェロさんが教えてくれました。
この10年、チーズにジャムやフルーツのコンフィ(砂糖漬け)を合わせるのが、世界的な人気です。
もっともこの食べ方はかなり昔からあったらしいですが…。
が、たしかに塩味と甘みは相性がよろしくってヨ。
塩キャラメルしかり。
ワインなら、がっつり系のネロ・ダーボラ(シチリア原産の赤ワインのブドウ品種)がおすすめだそう。
保存期間も、パックのままなら半年もつそうで、開けてからでも、紙や布を巻いて冷蔵庫に入れておけば、1ヶ月はもつというお土産最適チーズです。
「風味が薄れるから、ほんとは冷蔵庫には入れたくないんだけどね〜」って、アンジェロさんはいってましたが。
冬場、風通しのいい場所に置くなら、日本でも冷蔵庫に入れなくても大丈夫かなぁ?
これはちょっとわかりません。
味はやや無骨系の塩味。
がっつりシチリア男な感じですかね。
でも、クセになって、食べる手がとまりません。
セミ・ハードなラグザーノチーズは、買って帰って損はないですよ。
Dipasquale Formaggi(ディパスクアーレ・フォルマッジョ)
Corso Italia 387, Ragusa, Sicilia
→お店のサイトへ
営業時間 8:00〜13:30・16:30〜20:00
水曜休み
*営業時間や休日、料金は変更になる可能性があります
ラグーザは、国際空港のあるカターニャからだとバスで2時間弱。
ライアン・エアが就航するコミゾ空港という、ラグーザ郊外の小さな空港もあります(ローマ、ミラノともに1日1便)
*シチリアはとくに昔ながらの土地柄、コミュニケーションに困ったら
>>イタリア旅行。言葉に困ったら、マンマがゲット・アングリーで乗り切る!
この記事はトラベルジャーナリストの大沢さつきが書いています
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